「プラスチック資源循環促進法」対象製品の12品目・概要・問題をわかりやすく解説!|廃棄物|横浜市・川崎市内の廃棄物回収といえば日本ビソー

リサイクル

近年、世界的な問題として注目されているのが、プラスチックごみによる環境汚染です。海洋に投棄されたプラスチックによる生態系への悪影響や、マイクロプラスチックの人体への影響など、プラスチックがもたらす問題は年々深刻さを増しています。

このような背景から、日本政府は2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(通称:プラスチック資源循環促進法、プラスチック新法)を施行しました。

この記事では、プラスチック資源循環促進法が示す具体的な取り組みと同法が直面する課題までわかりやすく解説します。

 

 

目次

「プラスチック資源循環促進法」とは?概要をわかりやすく解説

プラスチック資源循環促進法は、プラスチック廃棄物の削減と資源としての有効利用を目指す法律です。「容器包装リサイクル法」「家電リサイクル法」といった”投棄された製品をリサイクルする”ための法律ではなく、”環境の汚染や破壊に繋がるゴミを出さないようにする”ための法律として制定されました。

 

・プラスチック資源循環促進法制定の背景

プラスチック資源循環促進法が制定された背景には、世界的な海洋プラスチック汚染の問題が存在しています。世界全体で年間800万トンを超えるプラスチックが海洋に流出しており、海洋生物の生態系に深刻な被害を与えています。こうした問題を解消すべく、EU諸国では使い捨て(非リサイクル性)プラスチック容器への課税を強化するなど、脱プラスチックの動きを見せています。

 

日本もこの動きに追従し、プラスチックのリサイクル促進を目的に、プラスチック資源循環促進法を制定しました。この法律は従来のリサイクル法が”製品”のリサイクルを目的としたのに対し、”プラスチック素材”全般を対象にした資源循環を重視している点に特徴があります。

 

・プラスチック資源循環促進法の基本原則

プラスチック資源循環促進法は、プラスチック製品のリサイクルを通じて資源循環を促進するために「3R+Renewable」を基本原則に据えています。

 

3Rは、従来より環境保護に向けた取り組みとして掲げられたスローガンです。3つのRはReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)を指しており、プラスチック資源循環促進法では、さらに4つめのRとなるRenewable(リニューアブル)が追加されています。

 

同法におけるRの意味は以下の通りです。

  • Reduce : プラスチックゴミの発生を抑制する
  • Reuse : プラスチック製品を繰り返し利用し、使い捨てを減らす
  • Recycle : 廃棄されたプラスチック製品を資源として再利用する
  • Renewable:プラスチック製容器・包装等を他の素材に切り替える

 

・プラスチック資源循環促進法の対象範囲

同法は、プラスチック製品のライフサイクル全体をカバーしており、多くの関係者が対象となっています。主な関係者と求められる役割は以下の通りです。

製造業者:環境に配慮したプラスチック製品の設計、再生材の利用

小売業者:使い捨てプラスチックの削減、廃棄プラスチック回収ボックスの設置

消費者:マイバッグの使用などを通じた廃棄プラスチックの抑制、適切な分別排出

自治体:効率的な廃棄プラスチックの回収、リサイクルシステムの構築

 

 

【プラスチック資源循環促進法「努力義務」】

プラスチック資源循環促進法の特徴は、多くの項目が「努力義務」として定められていることです。罰則は設けられていないため強制力こそ弱いものの、社会全体で廃棄プラスチック問題に取り組む姿勢を示すものとして広く同法に則した取り組みを求められています。

 

・事業者・自治体に求められる取り組み

同法は、事業者や自治体に以下のような取り組みを求めています。

 

1.プラスチック製品廃棄の抑制と再資源化の促進

具体的な取り組みとして、プラスチックの使用量を減らせるような製品設計や、リサイクルしやすい単一素材を用いた製品製造が挙げられます。また、使用済みプラスチックを原材料とした再生プラスチックの積極的な使用も、資源の循環に効果的な取り組みと考えられるでしょう。横浜市や川崎市など、近年ではプラスチック資源の回収方法を変更した自治体も見られます。

横浜市・川崎市の分別ルール変更については以下をご参照下さい。

横浜市・川崎市のプラスチックごみの出し方が変わったわった!確認しておきたい処理方法

 

2.自主回収・リサイクルシステムの構築

プラスチックのリサイクル率を上げるためには、資源となるプラスチックの効率的な回収が必要です。回収ボックスの設置による消費者への呼びかけや、再生可能な素材を抽出しやすくするゴミ分別のルールの制定といった取り組みは、資源回収に効果的です。 

また、回収したプラスチックを効率的にリサイクルするためのシステムを構築するための研究に力を入れることも求められます。

 

3.代替素材の利用

プラスチックを環境負荷の低い素材に置き換え、プラスチックの使用量そのものを減らすのも効果的な取り組みです。具体的には、木材を中心とした天然素材や、植物などの再生可能な有機資源を原料とするバイオマスプラスチックへの置き換えが挙げられます。

 

 

・消費者の役割

この法律によって取り組みを求められるのは事業者や自治体だけではありません。消費活動の末端に位置する消費者には、以下のような行動が期待されています。

 

1.使い捨てのプラスチック製品を使わない

消費者が意識しやすい取り組みのひとつが、使い捨てプラスチック製品を使わないことです。たとえば、身近なプラスチック製品であるレジ袋やペットボトルの消費量を減らすだけでも、環境に対して十分な貢献が期待できるでしょう。プラスチックの消費量削減への代表的な取り組みには、買い物時のマイバッグ、外出時のマイボトルの使用が挙げられます。

 

2.適切なゴミ分別

プラスチックを効率良くリサイクルするための第一歩は、適切なゴミの分別から始まります。リサイクルできるプラスチックを選びやすくするためにも、各消費者には自治体のルールに従った正しいゴミの分別が求められます。

また、過度に汚れたプラスチック製品はリサイクルの対象にならない場合がありますので、汚れを落としてからゴミとして捨てるのが理想的です。

 

3.環境配慮製品の選択

各企業が展開している環境保全を意識した製品を利用することも、消費者ができる取り組みのひとつです。環境負荷が少ないと認定された製品の目印である「エコマーク」がついた商品や、過剰な包装を避けた商品を購入することで、プラスチックの削減に貢献できる可能性があります。

 

4.リペア・リユースの実践

一度買った製品を長く使用し新しいプラスチック製品を購入する機会を減らすだけでも、プラスチックの削減になるでしょう。汚損や破損した製品を修理して使えると、さらに削減効果に貢献できます。

また、フリーマーケットやリユースショップを活用し、品質のいいリユース品の再利用を進めるのもよい取り組みです。

 

 

【プラスチック資源循環促進法の対象は12品目】

プラスチック資源循環促進法では、使い捨てされやすい製品を「特定プラスチック使用製品」に指定しています。その品目はプラスチックの使用量が多い12種類が選ばれており、各事業者に積極的な削減を求めています。

 

特定プラスチック使用製品に該当する12品目および提供事業者にあたる事業者は、以下の通りです。

特定プラスチック使用製品提供事業者

特定プラスチック使用製品の品目

各種商品小売業
飲食料品小売業
宿泊業
飲食店
持ち帰り・配達飲食サービス業

フォーク

スプーン

テーブルナイフ

マドラー

飲料用ストロー

宿泊業

ヘアブラシ

くし

かみそり

シャワーキャップ

歯ブラシ

各種商品小売業

洗濯業

衣類用ハンガー

衣類類カバー

 

引用:環境省「プラスチック資源循環」環境省

https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/gorika

 

上記に該当する事業者は、無料で提供する特定プラスチック使用製品から発生するプラスチックごみの削減に取り組む必要があります。この取り組みは使用量のゼロ化を義務づけるものではなく、提供方法や製品設計の工夫を通じて、プラスチック製品の使用の合理化を図るものとされています。

 

具体的なプラスチックごみ削減に向けた工夫の例は以下の通りです。

  • 消費者への当該製品の有償提供
  • 当該製品の不使用に誘引するための景品(ポイント還元など)の提供
  • 消費者へ当該製品を使用する意思の確認
  • 当該製品の繰り返し使用への誘因
  • 当該製品の薄肉化・軽量化
  • 適切なサイズの当該製品の提供
  • 繰り返し使用が可能な製品の提供

 

・プラスチック資源循環促進法の問題点

プラスチック資源循環促進法には期待が寄せられる一方、いくつかの課題も指摘されています。これらの問題点を認識し、実現可能な形での改善を図ることが同法の課題といえるでしょう。

 

・実効性の懸念

同法の問題点のひとつが実効性に関する懸念です。同法には罰則規定がないため、取り組み方は各事業者や自治体、個人の姿勢に委ねられています。そのため取り組みが形骸化する恐れがある点は無視できないでしょう。

 

また、同法は「2030年までに累積25%削減」という目標を掲げているものの、具体的な削減量が数値化されていません。また削減量を正確にモニタリングするシステムが整っていないことから、削減に対する評価を正しく行えない懸念が残っています。

 さらには、削減対象である12品目の特定プラスチック使用製品では十分な削減効果が見込めないという見方もあります。家庭用ゴミの大きな割合を占めるビニール袋やトレイ、ペットボトルといったプラスチック容器や包装に対する取り組みも、同法に盛り込むべきという声が少なくありません。

 

・技術的課題

同法の基本姿勢である3R+Renewableは、プラスチック製品のリサイクルも重要な取り組みであると示しています。一方で全てのプラスチック製品のリサイクルは技術的に困難であり、特に複合素材や添加物を含む製品のリサイクルには課題が残ります。

 また、プラスチックのリサイクルにはコストがかかるため、新規製造されたプラスチックよりもコスト高になりがちです。このコストの差がリサイクルを阻害する要因のひとつになると考えられることから、低コスト化の実現が重要な課題と考えられます。

 

・消費者の意識改革

同法の施行以来、一般消費者へ「リサイクル」や「エコ」といったキーワードが広く浸透しています。しかし環境に配慮した行動への結びつきはまだまだ弱く、プラスチック使用削減に繋がる新たな習慣の定着には課題が残ります。

 また、プラスチック製品をゴミとして処分する際の細かいルールも、習慣の定着を阻害する要因のひとつと考えられます。素材の種類や汚損の状態によって分別先が異なりますが、十分な理解を得ないまま不適切な分別をしている消費者が少なくない点も、同法の課題として考えるべき事項といえるでしょう。

 

 

【横浜市・川崎市のゴミ処理は日本ビソーにお任せください】

プラスチックは人々の生活におけるあらゆる場面に活用されています。日常的な買い物で目にするビニール袋や食材の容器だけでなく、各家庭にあるような家具家電、企業で使用する大がかりな機材など、プラスチックが使われている製品を目にしない日はありません。

 

小さなゴミは地域のルールに従って分別できても、さまざまな素材が使われている家電などの処理に難しさを感じる方も多いでしょう。もしゴミの処分方法が分からない場合には、プロの廃棄物回収業者にご相談ください。

 

日本ビソーは、横浜市・川崎市エリアで廃棄物の運搬ができる「一般廃棄物収集運搬」「産業廃棄物収集運搬」「特別管理産業廃棄物収集運搬」の許可を取得しています。企業様・個人様を問わず、あらゆるゴミの処理をお手伝いいたします。また、弊社ではグループ会社を通じて、プラスチックのマテリアルリサイクルのご提案も可能となります。捨て方に迷うプラスチックゴミがあるようでしたら、お気軽に弊社までご相談ください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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